マルテン・ブログ

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気に入ったものを自己満足で挙げていきます。

Martin Margiela ⓪⑩ 02ss スクエアトゥブーツ

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言わずと知れたマルジェラ名作のスクエアトゥ・ブーツです。
 
僕が求めるキッカケになったのは上記写真。初めて見たのは20歳くらいだったと思います。
オジサンたち(特に二枚とも髭を伸ばしたモデル)のパンツ~ブーツにかけての脚元に渋さとセクシーさがあって印象に残っていました。
 
もともと、若々しい爽やかな格好良さよりも、老いた渋い格好良さに惹かれる性分なこともあり。

そんな自分もそろそろいい歳になりつつあって最近は段々と服装もカジュアル化し、独特の野暮ったさとセクシーさ放つこのブーツがまた欲しくなっているところでした。
スクエアトゥブーツはブラウンと茶スエードがずっと欲しかったのですが、廃盤になって久しいこのアイテム自体に中々巡り会えず。
 
そんな中、一番欲しかったブラウン(追記: ブラウンというよりナチュラルカラー)が滅多にないデッドストックの状態でオークション出品されているのを見てどうしても欲しくなり、思わず大枚をはたいて購入してしまいました。
少々考えなしだったとは思います。
 
 
 
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スクエアトゥというと真っ先にマルジェラが思い浮かびますが、「スクエアトゥブーツ」というキーワードで調べてみると特段マルジェラが作り出したというわけでもなさそうです。
一時期日本で流行したこともあるとかないとか。
男性モノというイメージでしたが、女性モノもあって意外でした。
 
様々な種類がありますが、画像検索してみる限り多くは刺繍やステッチを全面に出した主張の強いものや形が厳ついものが多い印象です。
 
改めてマルジェラのものを見てみると本当にシンプルでバランスの良い形だなと感じます。
 
ブラウン系はブラックよりもカジュアルな印象もあって使いやすそうです。
ブーツシャフトの細さと長さもマルジェラのスクエアトゥにしかない特徴ではないでしょうか。
 
パンツの裾が上がった時に見えるこの細長いシャフトは独特のセクシーさがあります。太めのパンツに合わせた方が際立つ気がするので、主にマックイーンパンツをロールアップして合わせたいと思っています。
 
一般的に靴はその堅牢さからグッドイヤー製法が好まれますが、このブーツはマッケイ製法。マッケイであることでコバの張り出しやステッチが見えず、スッキリした形をしています。
 
 
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こちらは⓪⑩のアーティザナルラインからリリースされたモノです。
(追記:LAILA TOKIOのオンラインに同じくアーティザナルラインのスクエアトゥブーツが販売されています。どうやら、02ssにリリースされたようです。)
 
ネットで調べる限りスクエアトゥはメンズ発足の99年から存在していたようで、初期は⓪⑩ラインや⑩ラインから、05awにメンズ靴が㉒ラインに統一されてからはそちらからリリースされていたようです。
 
アーティザナルからのリリースはメンズ立ち上げから数年ほどらしいので、今回手に入れたものは1999~2002年までのものと推測されます。(追記: なんとなく、年代によってトゥの形がほんの少し違う気がするのですが、気のせいでしょうか?)
 
主に⑩ライン(㉒初期も?)はマッケイ製法、㉒はセメント製法と、作りに違いがあるそうです。逆に言えば、(写真で見る限り)大きな違いはそれくらい。ディテールとして素材やヒールに違いが出るとのこと。
 
素材や色は通常の牛革(赤、黒、ブラウン(ナチュラル))から、スウェード(グレー、緑、ブラウン、ダークブラウン、ベージュ)、パイソン(白、茶)、ペンキ加工(白や紫ペイント、茶や黒ベース)と様々あるようです。06シーズンには㉒ラインからデニム素材でのリリースもありました。
 
 
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スクエアトゥの中でもブラウン系の色は比較的定番色で、⑩や㉒からもリリースされている中、なぜこのモデルはアーティザナルなのだろう?と思い、素人ながら改めてアーティザナルラインとは何か情報を拾ってみました。
 
 
流行通信2002年vol.468より抜粋
 
「アーティザナルプロダクションとは?」⇒このアーティザナル生産は、すでに活躍し役割を終えた服、生地やアクセサリーに次の新たな生命を与えることを可能にしました。(中略)すべてのアーティザナル生産は、パリの18区にあるメゾン・マルタン・マルジェラのアトリエで作られます。アーティザナル生産のプロセスは、本来欠陥や風化など欠点としてみなされるデティールを、反対に尊重し、その一つ一つの新しい服が独自であることを保証します。
 
アーティザナルが上記のようなプロダクションであることを念頭においてこのブーツを見ると、上記写真のように「バラ傷:刺し傷や切り傷が治った痕」、「トラ:首や腹の皺やたるみを伸ばした痕」の他、「かさぶたの痕」や色ムラなどが結構あるヌメ革のような素材(下記に参考リンク)、ナチュラルレザーであることが目につきました。
 
今でこそエンダースキーマなどからヌメ革の靴は作出されていますが、水濡れや汚れに弱く本来靴には向かないヌメ革(のような革)、それも傷やトラが多く本来製品には使われないような素材をあえてブーツとして作るという発想はマルジェラの中でもアーティザナルの思想に合っているのではないかと思いました。(ただし、抜粋にあるようにフランス製ではなく、アウトソールにはイタリア製との表記)

シワや傷はどんな靴でも履いているうちに出来るものですが、ヌメ革となるとそれが極端に現れるので、アーティザナルとしての特性が際立ってくるのではないでしょうか。
まぁ、昨今はヌメ革の靴も普通に売っているので、マルジェラ に限ったモノではないのですが…

ヌメ革(ナチュラルレザー)は手入れをするうちに濃く飴色になっていき、クリームの油分で水や汚れにも強くなる素材なので、これから自分好みの具合に育てるのが楽しみです。
実際、クリームを塗りこむとグイグイと吸い込み、色が濃くなります。少し時間が経つと馴染みますが、これを繰り返すうちに良い飴色になりそうです。

追記
ヌメ革(ナチュラルレザー)の特徴だと思いますが、傷もつきやすいです。それも含めて味になるのですが、極端な傷が付かない程度には扱いに注意を払う必要があります。

(⑩や㉒ラインからリリースされたブラウンのスクエアトゥは実物を見たことがないので、上記のような素材がアーティザナル固有なのかは断定できません。画像を拾ってみた限りでは⑩や㉒のものと比べてアーティザナルラインの方が経年変化しやすいように見えます。そういう意味でも、今回のアーティザナル版はデッドストックかつベストサイズで購入できたのはラッキーでした。年を経る毎に希少性は上がっていくのでは。(需要と供給のバランスで一概に値段が上がるとは言えませんが。)
 
 

髭のオジサンモデルが履いているのような渋い育ちかたをさせたいものです。
願わくば、それに見合うように自分も渋くカッコよくなりたいものです。
 
 
ヌメ革の参考URL:土屋鞄製作所 http://www.tsuchiya-kaban.jp/contents/detail.php?product_id=1045
 
 
 
 
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先に述べましたが初期モノはマッケイ製法であるため、ソール底、中敷きを外した下にステッチが見えます。
一応、ソール交換ができるようですが、それでも出来て1・2回とのことなので、ほとんどの方はビブラムソール等を貼り付けているようです。
僕もソールを貼り付けて履いています。
 
サイズは41で概ねジャストでした。
スクエアトゥということで足先には余裕もあるので、普段よりも小さいサイズを選んだ方が良さそうです。
ただ、シャフトが結構細いので、履き込まれて広がっていない個体の場合は馴染むまでキツく感じるかもしれません。
 
デッドストックということで、革は固めですが、履き込むうちに脚に馴染んでくるようです。履く人によってシャフトに入る皺の具合や口の開き方が違うのもこのブーツの面白いところだと思います。
 
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⓪⑩や⑩はソールの木型の合わせ方が雑(削っていない)なのが特徴なのだそう。ブラックなどはソール木型も黒に塗られていますが、こちらはそのままの色合いです。
 
そこまで目を引くものではありませんが、こういった細かなデティールが合わさって「ブーツ特有のキメすぎ感」を中和したマルジェラにしかないスクエアトゥ・ブーツになっているのでしょうね。
 
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デニムパンツやチノパンなどに合うことは様々な着こなし写真で証明済みですが、このナチュラルカラーに関して言えば上の写真のように比較的キレイ目でテロテロした薄手のウールパンツ(こちらは、カーキ色、ウール100%のアナトミックパンツ)にも合わせられそうです。
(※実際に履いているわけではなく、パンツをかぶせているだけなので、左脚のようにブーツの形は浮き出ません)
 
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新品よりも履き込んだ佇まいの方が圧倒的にカッコイイので、ガンガン履いてたくさんシワをいれ、クリームを塗りこんで育てていきたいと思います。

追記
独特なナチュラルカラーはお世辞にも合わせやすい色ではないため、履く機会は多くありません。中々コーディネートに迷ってしまうアイテムです。
 
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同じ02ssシーズンのMartin Margiela ⑩ 02ss マックイーンパンツ - マルテン・ブログとは相性抜群だと思っています。