04ssシーズンのアーティザナル、再構築デニムスウェット(その2)です。
スウェットということで、アイテムとして使いやすい点も良く、数あるアーティザナルの中でも特に気に入っています。
もともとライトカラーを持っていましたが、この個体があまりにも素晴らしい色合い、理想的なサイズ(ほど良いオーバーサイズ)と三拍子揃っていたことから2着目として確保しています。
マルタン・マルジェラのファンの中ではよく言われることですが、アーティザナルは好みの個体に出会えた時が買い時です。(例え、同じアイテムであっても別カウントです。個人的には。)
特にデニムを再構築したアイテムは個体差が激しく、経験上、一度逃すと同じような個体には二度と出会えません。
この個体は兎にも角にも、綺麗にフェードしたインディゴの色合いが素晴らしいです。
グラデーションは、もはや美しいとさえ言えます。
そのおかげでスラックスなんかに合わせても不思議と馴染んでくれていると思います。
理想的にはルックの(見た目より年齢はずっとお若いかもしれませんが)オジ様のように自然にカッコ良く着こなしたいところです。
色が濃いので、ライトカラーの個体よりも縫い合わせ方の違いがハッキリしていると思います。
縫い合わせは4〜5パターンあり、そのパターンの違いがそのままデザインとして主張してくるのが堪りません。
特に、糸を抜いて残るポツポツとした痕は、古着を再構築したからこそのデザインであり、アーティザナルだからこそ。気に入っています。
(マサオシミズの再構築デニムでも取り入れられています。)
今回、二つ並べてゾッとしたのは、フロント部の糸の切り替え。
以前にライトカラーを紹介したときは「青色の糸が足りなくなって途中でオレンジ色に変えたのかも笑(上写真)」みたいに書いてしまいましたが、とんでもない。
この個体も全く同じ位置付近から糸色が切り替えられています。(下写真、やや分かりにくいですが。)
つまり、メゾンがこの糸色の切り替えや、その位置を細かに計算・意図してやっているわけです。脱帽。
アーティザナルというと個体差が激しいこともあり「自由」「実験」「遊び心」などの言葉が連想されがちですが、根本的なデザインにはメゾンで計算され尽くしたバランス・秩序があることを再認識しました。
その上で、我々受け手側なりの解釈もできる余白(そういう意味での「遊び」)も内包しているのが、アーティザナル(メゾン)の凄いところだと思っています。