マルテン・ブログ

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気に入ったものを自己満足で挙げていきます。

Martin Margiela ⑩ 00aw ヴァージンウール・ニット

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マルジェラのお家芸であるハンマースリーブ。

 

定番ニット(カーディガン)との組み合わせで多く見られる仕様だと思いますが、このニットはドライバーズニットと同素材の厚いウール生地(厳密には素材や厚さも違います)をハンマースリーブ仕様で仕立てたものです。

 

中々珍しいのではないでしょうか。

というよりも、このアイテム以外でこの組み合わせは見たことがありません。

 

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ハンマースリーブの特徴は、肩周りが楽になり腕を動かしやすくなることと、肩のラインに沿って綺麗に落ちるシルエットでしょうか。分かる人には分かる魅力だと思います。

特に、定番ニットよりも圧倒的に生地が厚いので、よりハンマースリーブの良さ・ありがたみを実感します。

サイズMですが、174cm, 59kgの僕で程よくゆったりしたサイズ感です。

 

また、ドライバーズニットと同じ太畝の生地なので、肩周りで切り替えが入ることでデザイン性も生まれている気もします。

 

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ちなみに、ハンマースリーブはマルジェラだけのものではないようです。

直近ではメゾン・キツネからもリリースされているのを確認しました。

 

とは言っても、素材感や生地の切替のラインが違い、だいぶ印象には差があります。

マルジェラの方がかなりクリーンな印象です。(素材感については後述)

 

超初期のアイテムは現行⑭やレプリカタグが無くとも、過去に世に出たアーカイブをソースにしたアイテムが多いと聞きますし、このニットはレプリカ・コンセプトで作られた可能性が高いと思われます。


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これも余談ですが、直近で購入したUniqlo Uのスウェットも通常のラグランスリーブとはまた違う仕様になっていますよね。

マルジェラでハンマースリーブを知ってからは、肩周りの造りは意識して見るようになりました。

 

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初期のアイテムはタグからの年代判別が特に難しいですが、マルジェラに精通する信頼できる方から、2001年頃にリリースされたものと教えて頂きました。(厚手のニットなので、awとして表記しています。)

追記: 調べて見ると、2000awのもののようです。

 

20年前のものになりますが、全くヘタレを感じないしっかりした生地で、一生着倒せる安心感があります。

通常、マルジェラのウール素材は単に「wool」としか表示がないことが多いですが、「pure virgin wool」と表示されているだけあって、高品質なものが使われているのかもしれません。

 

マルジェラの超初期は、ミス・ディアナというニットのプロがクリエイションに関わっていますし、マルタンやジェニーのプロダクトへの追求姿勢が色濃く反映されていることを考えると、こうした素材一つ一つまで考えぬかれて選択されているのだと思います。

(超初期は、単に「ウール」ではなく、「バージンウール」や「メリノウール」など、細かく素材表記を使い分けているあたり、素材まで拘って選択されているのを物語っていると思います。)

 

実際、着てみればそこらのニットと比べて肌触りやシルエット、全体としての雰囲気の違いは歴然で、ブランド側の追求心が伝わるアイテムと個人的に感じます。

 

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素材感をもう少し深掘りするため、似たような素材感であるアンデルセンアンデルセンタートルネックニットと比べてみます。

(素人なので、とにかく似たアイテムを比べることで各々の特徴を掴む手法を取っています。)

 

パッと見の素材感は似ていますが、結論から言うと、着心地は全く異なり、マルジェラの方がドライタッチで厚さの割にサラリとした着心地です。

 

ちなみに、写真のとおり、アンデルセンアンデルセンは冬の外作業をする漁師や船乗りをイメージソースにしていることもあり、暖かさに特化したアイテムです。


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どちらも暗いネイビーカラーで、殆ど同色と言っていいと思います。

 

パッと見では畝の深さや幅の差も分からないかもしれませんが、マルジェラの方が畝が深く幅も広い分、着心地が緩やかです。(決して緩いわけではありません。)

 

着てみるとだいぶ差があります。

アンデルセンアンデルセンは身体への密着が強いです。


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上写真:アンデルセンアンデルセン

下写真:マルジェラ

 

アンデルセンアンデルセンは、やや毛羽立ちが強くでる素材感です。

 

一方、マルジェラは厚いながらも殆ど毛羽立ちが無く、光沢がでる生地感です。

アンデルセンアンデルセンと比べると、糸の捻りも強い気がします。

 

素人ながら、どちらかと言えばアンデルセンアンデルセンは紡毛ウール、マルジェラは梳毛ウールが使われていると推測しています。

(合っているかは分かりません。)

 

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このニットは梳毛ウール(推測)であることもあり、かなりドライタッチで、厚い生地ながらも暑苦しいことはなく、サラリと着ることができます。

快適な着心地です。

 

ドライバーズニットは持っていないのですが、これと同じくらいサラリとした着心地なのでしょうか。

あるいは、マルタン・マルジェラとミス・ディアナだからこそのものなのか。

 

光沢もあって極端に重い印象はないので、春先にかけての少し肌寒い時期も着用できます。

 

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後ろから四つ糸が出ていなければマルジェラと気づかれることもなく、そこらで売られているニットに見えるかもしれません。

 

ですが、昨今のメゾン・マルジェラからは絶対にリリースされない、超初期マルタン・マルジェラに特有のオーセンティックな魅力が詰まったアイテムだと思います。